化粧品

心に浮かんだことをそのまま書いた妄想文です。

 

が美しい人になりたい。

ずっと昔からぼんやりとそう思ってきたが、50をいくつか過ぎた頃から切実に願うようになってきた。

肌に良いと言われることは大抵してきた。(お金のかかること以外で)

水も飲んだし、熱いお湯で顔を洗うのも控えた。

保湿はたっぷり、冬でも毎日日焼け止めをこまめに塗る。

紫外線が多い五月以降は必ず日傘を。

運転時には必ず手袋を。もちろん車の窓が紫外線カットであることは当たり前だ。

睡眠は最低七時間。

良質のタンパク質を取り、毎朝フルーツ酢を飲み、小麦粉を控え、お米は雑穀米、食事の時には温かいほうじ茶か麦茶だ。

 

なのに、私の肌は美しいとは言いがたい。

20代の頃の私の肌は、まるで怪獣の皮膚のように荒れていた。だから今は人並みになれたことで十分とすべきかもしれない。

だけど、テレビで見る美しい女性に、街角で見る若いママのみずみずしい首筋に、電車で乗り合わせたお年を召したマダムの歳を取りながらもなお張りのある頬に見とれ、死ぬまでに一度は肌の綺麗な人として存在したいと思うのだ。

 

なかなか家計の苦しい中で、@cosmeで調べ、SNSで口コミを読み込み、出来るだけ安い値段で効果のある化粧品を探してネットを徘徊する。

誰かの言葉に右を向き、向いた先にいた誰かの批判で踵を返す。

そんなことを二十年以上やってきて、それで疲れてしまった。

 

でも美しい肌に憧れる。

 

肌の弱い私はデパコスを避けて生きてきた。

香料の多い昔のデパコスには恐れをなしていたし、何よりお高い化粧品を購入して失敗する余裕がなかったからだ。

 

でも。

でもね。

肌が弱くたって、たまになら使えるかもしれない。かゆいのは我慢すればいい。たまになら。

それに、死ぬまでに高い化粧品だって使ってみたい。

一度くらい高価な化粧品を使ってみたかったなんて思いながら死ぬのは絶対嫌だ。

 

なので、コスメカウンターに恐る恐る足を運んでみた。

 

運んでみれば、ビューティーアドバイザーさんは優しかった。

優しくない人もいましょうが、私を接客してくれた人はとても優しかった。

肌が弱いので、という私にうなずき、ダメなときは変えていきましょうねと使った化粧品をすべてメモで教えてくれた。

なにより、お高い化粧品を使った私は綺麗だった。

いや、フィルターでしょう。わかっております。自分にフィルターをかけて見ておりました。

それでも、良い化粧品というのは心にも作用するようで、私は自分の表情が明るくなるのを感じたのです。

 

私は良いものを使っている。

私は良いものを使うのに足る人なのです。

 

あえて言えばそんな感じでしょうか。

 

背筋が伸び、口元は微笑み、なんとはなしに優雅な気持ちになって、いわゆるいい女になったような気分。

高価な、広告費と容器の美しさがそのほとんどを占めているとも言われる、デパートコスメをこぞって女性達がほしがるのもわかる気がする。

 

肌の弱い、そしてお財布的に失敗の出来ない私が購入したのは今回はファンデーションのみ。

だから今度は下地を購入します。

自己流で塗りたくったファンデーションで、私の肌は確実に美しくなりました。地肌が美しく見えるファンデーションだったからです。

良いものを使った自信も手に入れました。

下地も揃えればどんなに素敵になるでしょう。

何ヶ月かかけて少しずつお金を貯めて、そして下地を購入します。

 

わくわくとする気分です。

自分にかける時間とお金は気分をあげてくれます。

 

なにより、私は肌の美しい人に少し近づきました。

私の夢は少し叶いました。

 

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました